オランダ大学院の留学日記

オランダの大学院(修士課程)で勉強中の日本人の日記。

海外大学院不合格だったのに交渉したら合格になった話。

 

2月4日

第一志望だったオランダの大学院から、このようなメールが届きました。

 

「We regret to inform you that the Academic Committee on Admissions of Wageningen
University has decided against admitting you to the above mentioned Master programme.」

 

つまり、不合格

英語スコア、学部の成績の要件は満たしているし、SoPもCVも推敲を重ねて提出したのに…

しかもこの大学は、「基準を満たしている学生は全員入学できます」とオフィシャルに言っているんです。

 

正直、英語の要件スコアをとれた=合格だと思っていて不合格は想定していなかったので、このメールを読んだ時はかなり落ち込みました。

 

しかし!

タイトルにもあるように、その後紆余曲折を経て、この大学から合格をもらうことができました。

今回はその過程についてのまとめです。

 

 

 

不合格から合格までのタイムライン

まずは、不合格通知を受け取った日から合格通知をもらった日までの流れ、私が行ったことなどを紹介します。

 

2月4日

本命のプログラム(食品系)から不合格のメールを受け取る。

 

2月5日

出願のサポートをしてもらっていた、大学の日本人窓口の方に結果の報告をする。

Admission Letterに書かれていた内容を元に不合格となった理由を分析し、アピールレターの提出に向けて準備を始める。

※アピールレターとは

国によって制度は異なると思いますが、オランダでは一度大学を不合格になったあと、追加の説明書類などを提出することでもう一度入学審査を行ってもらうことができます。

そのときに提出する、再審査のお願いをするための手紙が「アピールレター」です。

 

2月6日

日本人窓口の方とZOOMで作戦会議。

どういう内容で大学側を説得していくか方向性を決める。不合格になったプログラムと似たような内容の学べる、生物学系のプログラムへの併願を決め、出願書類の準備を始める。

 

2月15〜21日

・アピールレターと追加の説明書類の準備完了。内容を添削してもらって提出。

・併願先のプログラムに出願する。

・他の大学院への併願を始める。

 

3月7日

併願先のプログラムから不合格通知が届く。ここでもアピールレターの準備を始める。

 

3月10日

本命だったプログラムからも2回目の不合格通知が届き、絶望する。

こっちのプログラムではこれ以上説得の余地が無さそうだったので諦める。

併願先にアピールレターを提出する。

 

3月15日

併願先のプログラムに合格!!!

 

 

不合格になった理由

私が合計3回も不合格をいただいてしまった訳は、「学士課程で学んだ内容と出願したプログラムの関連性が低いから」でした。

 

私が所属していた学部・学科は広く浅く学ぶタイプで、環境、生態、土壌、ロボット、食品などかなり広い分野がカリキュラムに入っていました。

もちろん私の卒業研究や修士課程で行いたい研究の内容は、出願したプログラムの内容(食品系、生物系)と一致しています。

しかし学科名や履修科目名を見て、私は十分な事前教育を受けていない、他のプログラムの方が私の学士課程と一致性が高いのでは、と思われてしまったようです。

 

確かに、私の履修科目のうち食品科学・生物学に直接関連する授業はたったの6〜8単位、卒論の分を入れても20単位に満たないくらいだったので、大学側の言い分も理解できます。

十分に食品科学の授業を受けてない(そもそも開講数が少なくて受けられない)のは事実だし、大学院入学後に勉強を頑張ります!!って理屈じゃ通らないだろうし…

どうやって自分の正当性をアピールしていくか悩みました。

 

 

どうやって説得したのか?

本命、併願、ともに不合格となった後で大学へ提出したのは以下の3つの書類です。

※もし需要があれば、今後noteなどで実際の提出書類を公開することも考えています。個人情報が入っているので有料記事という形になるとは思いますが…。もし見たいという人がいればコメントください!

 

 

・アピールレター

これはメールの本文として送りました。

内容をざっくりと日本語で書くと、

 

「あなた方は私の学部教育が不十分だという理由で不合格にしました。しかし、これは誤解です。

確かに私の学部では幅広い分野をカバーしており、食品科学(生物学)とは関連性が低いように見えますが、私はこの2年間、食品科学(生物学)を研究してきました。研究室ではこんなことを研究しており〜(研究内容をざっくりと説明)。

さらに、プログラムへの入学条件となっている履修分野に当てはまる科目もいくつか履修しています。ぜひ柔軟な評価をお願いします。

私の研究内容や履修済み科目の詳細については、添付ファイルをご参照ください。

以上の内容を考慮し、私の入学を再検討していただきたいです。」

 

という感じです。

 

「どうか私を入学させてください!」ではなく「私が不合格になるのはおかしい!」というスタンスでいること、そして理論的に説明することが重要だとアドバイスをいただいたので、そこを意識して書きました。

 

 

・履修科目の説明

食品系、生物学系のプログラムそれぞれにおいて、「こんな分野を学んでいる人が入学の対象です」という科目が指定されていました。

 

例えば併願した生物系の方では

MSc Biotechnology admits only students with a pre-education offering a solid basis in process engineering, gene technology, molecular biology, biochemistry and cell- and/or microbiology.  」

と説明されたので、私の履修科目の中からこの分野にあてはまりそうな授業をピックアップし、それぞれの詳しい授業内容を説明しました。

 

また、私の出身大学とオランダの大学院では1単位あたりに必要とされている勉強時間が異なります。

それも考慮して、「これらの授業は合計で26単位、つまり貴大学での単位数に換算すると41単位に相当します。」という内容も書きました。

 

 

・研究内容の要約

個人的にはこれが一番効いたんじゃないかと思っています。

私は卒業研究として取り組んだテーマの他に2つのテーマに参加していて(その時点では卒業論文で精一杯だったので全部のテーマにがっつり取り組んでいたわけじゃないけど)、合わせて3つ分の研究の要約を送りました。

 

各研究テーマについて1ページ分、図も入れて背景知識のない人にもわかりやすいように書きました。

卒業研究のテーマはすでに結果が出ていたので研究成果をまとめる形で、残りの2つは始まったばかりのテーマだったので研究背景や目標、実際に行っている(行う予定の)実験内容を書きました。

 

これは本当に強運だなと思っているのですが、ちょうど2月末くらいのタイミングで3つめの研究テーマをやってみないかと指導教官に声をかけていただいて、それががっつり生物学的な内容でした。

私の研究室では数学・物理を使った研究が多く、生物学寄りの研究を行っていた先輩はほぼいなかったんですが、本当に偶然、すごく良いタイミングでその研究テーマに参加することができて今でも奇跡だなと思っています。

 

 

不合格から合格になるまでを振り返って

最初に不合格のメールを受け取り、その後も2回不合格となったときはもう諦めかけていました。

もう時期が遅かったので出願を締め切っている大学が多かったんですが、オランダの大学に行けないことを覚悟して、急ピッチで他の大学への出願を進めていました。

 

正直不合格メールをもらうのに慣れてしまっていて、3月15日の朝にメールを受け取ったときも「不合格だろうな…」と思いながら寝ぼけた状態でメールを開いたので、最初は書かれている英語の意味がよくわからず、合格だと気づいてから一気に目が覚めて興奮したのを覚えています。

 

この1ヶ月間は卒論発表などで忙しいタイミングで、そんな中、4月以降の進路がいつまでも決まらないのがとても不安でしんどかったです。

海外大学院をあきらめて国内の大学院(一応院試は受けていました)に進学するならもう手続きのタイムリミットが迫っているし、海外大学院も続々と出願を締め切っていくし…

 

でも結果論にはなってしまいますが、本当に諦めなくてよかったです!

「諦めなければ叶う」と一概に言うことはできないけれど、ダメ元でもいいから何でもやってみることは大切だし、それが叶うことも本当にあるんだなと今回の体験を通して学びました。

 

これはかなりレアなケースだとは思いますが、この体験談がいつか、私と同じように不合格となってしまった受験生の方の希望に少しでもなれれば嬉しいです。